間違い探しの感覚で事件を紐解いていく
『ナゾトキの時間』は、独特な画調で描かれた一枚のイラストの中から、事件解決に導くための証拠を見つけていくゲームです。
1つの事件に対していくつかの謎があり、その答えとなるポイントをタップ操作で指摘していきます。
誰でもすぐに遊ぶことが出来る、非常にシンプルな作りでありながら、事件の謎が紐解かれていく感覚を味わえるゲームとなっています。
殺人事件現場というシリアスな場面において、雰囲気を崩さないデザインと、事件背景に準じたシーンの描写は眼を見張るものがあり、手軽に遊べるというゲームの割には、一つ一つの事件の登場人物描写も緻密に描かれています。
大体は事件が起きた瞬間か、容疑者が居合わせている場面、捜査官が調べている場面でのイラストが表示されます。
こう言ったシーンでの心情が読み取れるような人物描写は見事で、このゲームの見どころでもあるでしょう。
証拠品などもスマートフォンやSNSの画面、動画配信をしていたという事件背景など、時代に合わせていてリアリティを感じさせます。
程よい難易度と「なるほど」と思わせる解説でサクサク進める
殺人事件現場と言っても、比較的ライトな表現でイラストは描かれており、難しい知識なども必要なく、出された課題に対する答えとなる箇所を見つけるだけです。
そして事件の証拠を探すと言っても、3Dの空間を探し回るわけでもなく、動かないイラストから探し出すため、極端に複雑にはならず、謎解きや推理などが苦手な人でも手軽に遊べる難易度となっています。
また、不正解となってもゲーム内でのデメリットなどは特に発生せず、偶然正解をタップしたところで、しっかりとした解説と事件背景が記述されるため、消化不良にはなりにくい配慮が施されています。
また、事件の題名はよくある推理ドラマのタイトルのようなキャッチコピーとなっており、題名から内容を推察するのも楽しさの一つとなっています。
課金要素ゼロでもユーザーレビューは辛口
なんと『ナゾトキの時間』には課金要素が見当たらず、収益のもとになりそうなものは広告のみと思われます。
さらには、いくら探しても広告削除のための課金もなく、逆に言えば挿入される広告を表示させない手立てがありません。
これが一部のユーザーからは不評を得ており、厳しい言葉が飛び交っています。
しかしながら「完全無料」を堂々と謳えることは近年のアプリでは珍しく、600問ほどの謎解きを無料で遊べるということは素晴らしいボリュームです。
各謎解きに用意されている「ヒント」も連続で使用するとアンケートを求められたりする仕組みになっていますが、こういった課金要素に傾きがちなシステム面において、断じて課金要素を入れないという意志がひしひし伝わってくる作品です。
シリーズ総集編とも言える作品
実はこの『ナゾトキの時間』には開発者の過去作品シリーズが収めされており、それぞれ異なる雰囲気を醸し出しています。
中にはRPGによくあるような勇者一行を主役とした題材もあり、異なる世界観でのゲームを楽しめるようになっています。
シリーズによっては殺人事件の証拠探しなどではなく、単なる人探しだったり、ユニークなものも含まれていて、「イラストから特定のものを探す」というシステムを上手く流用されています。
もちろん操作や手順が複雑になるわけでもなく、出された題に沿ったものを探すだけというシンプルさで、どこまでも遊べるというのが安心できます。
シリアスなだけではない事件簿
題材のメインとなるのはほとんどが殺人事件なため、その背景設定などもシリアスになりがちですが、「鼻毛探偵」や「勇者一行」などのストーリーを組み込むことで、息苦しくならないような配慮が感じられます。
画調も若干ゆるくなっており、思わず笑ってしまうような内容の謎まで出題されます。
またメインのシリーズにおいても、人間関係の拗れから、通り魔のような愉快犯まで非常に多彩な犯人像が用意されていて、変化に富んだ謎解きを体験できます。
推理小説の主人公になったような気分に浸りながら、手軽に遊ぶことが出来るので、ちょっとした通勤、通学の合間などにもオススメのアプリです。
文:みふる
フリーライターとして2年ほど活動。
現在はIT系企業のOLをしながら兼業でライター以外にも、
占い師や、イベント企画などを手掛ける。
マイナーなアプリを掘り起こすのが好き。