前回、非消費型課金アイテムの事例として『MyLove.』というアプリを紹介しました。
http://blog.item-store.net/entry/2018/07/06/140000
今回は同じzxima.LLCによる最新作『ポストアポカリプスベーカリー』の紹介です。こちらはいっそうユニークな課金アイテムが揃えられています。
『ポストアポカリプスベーカリー』について
『MyLove.』と同じ、終末の地球を舞台としたゲームです(zxima.LLCのアプリはすべて同じ世界観となっています)。
地球最後のパン屋にやってくる、個性的なお客たち。プレイヤーは彼らの要望に応えるため、さまざまなパンを提供していきます。
荒廃した舞台でありながら、ほのぼのとした内容で、ゲームオーバーもありません。誰でものんびり簡単にプレイできるという特徴があるのです。その作風が評判を呼び、ストアのランキング上位に入るなど、かなりのヒット作となっています。
パン屋を彩る着せ替えアイテム!
パンを作るためのエネルギーを早く溜める、より多く溜めるなど、本作には『MyLove.』と同じく効率よくプレイするためのアイテムがあります。
そして、それらの他にもゲーム進行には何も影響を及ぼさない、しかしユニークな課金アイテムも用意されています。ひとつひとつ見ていきましょう。
【看板娘ホームくん】
プレイヤーと一緒にパン屋を盛り上げる、マスコットキャラクターの「ホームくん」。この課金アイテムを使うと、女の子らしいデザインになります。それまでと違った雰囲気でプレイできるでしょう。
【カラフルホームくん】
ホームくんのボディの色を変更します。「看板娘ホームくん」と併用できるので、何通りものパターンが生まれます。
【フィギュア飾り台】
ゲームを進めていくと集まる「フィギュア」は、通常はメニューでそのコレクションを眺めるだけですが、飾り台を購入することで店頭に置くことができます。
【パンデミックを着せ替え】
パンを生み出す「パンデミック」にも着せ替えアイテムがあります。パンデミック用のアイテムは互いに併用できないのですが、毎日違うものを着せ替えて楽しむことができそうです。
リボン:かわいいリボンをつけられます。全10色があります。
ハチマキ:ハチマキをつけられます。全9色+ねじりハチマキがあります。
ぼうし:帽子をかぶせられます。全8色+2種類があります。
あにまる:かわいい動物っぽい見た目になります。全3種があります。
【パンの見た目を変更】
そしてパン用のアイテムもあります。こちらは互いに併用できます。
色変え:パンの色を変えられます。全8種があります。
パンのかお:パンの表情を選べます。全14種があります。
パンのおまけ:アフロやツノなど楽しい「おまけ」をつけられます。全7種があります。
開発者「じぃーま」さんにインタビュー!
なぜこういったアイテムが導入されたのでしょうか? 開発者である「じぃーま」さんにお話を伺いました。
-- これらの攻略に直接関係ない課金アイテムは、どのような意図で導入されたのでしょうか?
まず前提として、今回の『ポストアポカリプスベーカリー』は前作『MyLove.』以前のゲームと違い、細く長く楽しんでもらえるように作っています。『MyLove.』以前のゲームはクリアするとエンディングが流れてストーリーが完結してしまうために、それ以上続けて遊んでもらえる仕組みがありませんでした。『ポストアポカリプスベーカリー』では長く遊んでもらえるように、アップデートで新しいシリーズ(追加のストーリーとキャラクター)を追加できるようにしました。
また、『ポストアポカリプスベーカリー』は誰にでも気軽に遊んでもらえるように、極端にゲーム性を排除しています。そのために攻略しやすくするアイテムというのは作りづらいのですが、逆に長く続けているとゲームが単調すぎて飽きてしまいます。
以上のことから、長く遊んでくれるプレイヤーさんが気分転換できるようなアイテムを追加することにしました。それがこれらの「着せ替え系」アイテムです。
-- これらのアイテムの課金状況はどうでしょうか?
なかなか好評で、『MyLove.』と比較して200円ぐらいARPPU(ユーザー1人あたりの平均購入単価)が高くなっています。
-- 今後もこのタイプのアイテムは増えていくのでしょうか?
現在、特に力を入れて増やしているところです。ありがたいことに、プレイヤーの皆様からも日々色々なご要望をいただいています。
まとめ
スマホゲームの課金要素としては、「アバター」が以前からあります。『ポストアポカリプスベーカリー』の着せ替えアイテムは、これに近いものがあるかもしれません。
課金アイテムとは攻略を便利にするもの……そう考えがちですが、プレイヤーに楽しくプレイしてもらう気分転換のためのアイテムも、さまざまな可能性があることがわかります。ぜひ参考にしてみてください。
最後にもうひとつご紹介しましょう。
支払いをキャンセルしたときのホームくんの反応。こういう細かいところでも楽しませる工夫があるのです。
文・アライコウ
十数年、インディーと商業でノベル・アドベンチャーゲームに関わってきました。
Webサイト:http://arai-create.net/
Twitter:https://twitter.com/araicreate