ユーザーに課金してもらうためには、もちろんいい作品を作ることが第一です。
ではいい作品を作ったあとには、何ができるでしょうか?
その答えのひとつが、多言語展開です。
国内向けだけでは厳しい時代
現在はあまりにも多くのアプリがリリースされていますので、普通にいい作品なのになかなか売れない……ということは珍しくありません。
大手企業が当たり前のように基本無料のゲームをリリースしているのは、個人クリエイターや中小のインディーチームにとって脅威でしょう。クオリティはともかく、宣伝競争で勝つことは困難です。
そして何より、国内だけで勝負するには厳しい時代になってきました。
決して景気がよくなっているとは言えず、アプリ以外の娯楽(もちろん無料)も多く生まれています。ユーザーもそう簡単には財布の紐を緩めてはくれません。
そこで考えたいのが、海外に目を向けることです。
日本の人口は1億人ですが、世界には70億という人たちがいます。そのうち英語を日常的に話す人は17.5億人。およそ4人に1人という高い割合なのです。
参考:世界で英語を話す人口数は?英語を話せれば世界が広がる!
つまり英語対応するだけでも、日本人だけを相手にするより、グッとチャンスは広がるということです。
テキスト量が多くなければ実装のハードルは低い
「そうは言っても、翻訳って大変なんじゃないの?」
と思われるかもしれません。
確かに翻訳は専門的な技術です。ただ単にテキストを翻訳するだけではなく、それぞれの国に適した表現に置き換えること(ローカライズ)も必要になります。
しかし今は、ゲームテキストの翻訳を請け負ってくれる人がたくさんいます。プロに依頼すればいい――つまり費用を用意するだけでほぼ解決できる問題と言えるのです。
みなさんが作っているゲームに、テキストはどれほど使われているでしょうか?
カジュアルゲームであれば、そう多くはないでしょう。アクション、シューティング、パズルなども、テキストの量で勝負するようなものではないはずです。こういったジャンルを作っているなら、ぜひ英語をはじめとする多言語展開を視野に入れてみてください。
ちなみに筆者も、数年前からアプリに英語を実装しています。ジャンルはノベルゲームです。テキスト量が多く、プロに依頼することはコスト面で難しかったので、最初は自力で翻訳していました。もちろん英語などほとんどわかりません。
しかし思いがけないことに「そのダサい英語、タダで直してあげるYO!」と海外のプレイヤーから申し出があり、劇的にクオリティが上がりました。おかげさまで今も売れているロングセラーになっています。
ただ、今は海外のユーザーも翻訳のクオリティに関してはだいぶ厳しくなっています。筆者がやったような自力翻訳は、もうオススメはできない状況です。「うちのゲームはテキスト量が多くないから自分で」とは考えず、やはりプロに依頼したほうがよいでしょう。カジュアルゲームなどであれば、少なくともノベルゲームよりはコストを抑えられると思われます。
「宴」なら多言語対応もカンタン
以前の記事で紹介した「宴」は、ノベルゲームを作るだけでなくRPG等他のジャンルの会話シーンも簡単に組み込むことができます。
Unity上で簡単にノベルゲームを作れる!「宴」のここがスゴい
そして宴の特徴のひとつに、多言語対応があります。
自動的に翻訳してくれるわけではありませんが、エクセルファイルに追加したい言語を記述しておけば、ボタンひとつで切り替えられるようになるという、非常にシンプルな設計です。公式サイトの説明ページを見ただけでも、なんだか簡単にできそうな気がしませんか? これなら「会話シーンの言語の切り替えってどうやるの?」と悩むこともなくなりそうです。
まとめ
海外展開には難しいというイメージがあると思います。しかし言語の問題さえクリアすれば、一気に課金率アップという可能性が生まれるのです。これからは国内だけでなく、ぜひ海外のプレイヤーも視野に入れましょう!
文・アライコウ
十数年、インディーと商業でノベル・アドベンチャーゲームに関わってきました。
Webサイト:http://arai-create.net/
Twitter:https://twitter.com/araicreate