こんにちは。
インディーゲームの紹介などを行っているインディーズゲーム放送局です。
前回に引き続き、Google Playが主催するインディーゲームのコンテスト『Indie Games Festival 2018』のファイナルイベントの様子をお伝えいたします。
今回はトップ10、そしてトップ3の作品を紹介したいと思います。
トップ10によるプレゼン
午前中に行われた投票の結果によりトップ10が選ばれ、午後からはトップ10によるプレゼンテーションが行われました。
トップ10に選出されたのは以下の10作品です。
▼トップ 10一覧
- 『Million Onion Hotel 〜ミリオンオニオンホテル〜』
- 『クリスタル・クラッシュ【超攻撃的パズル合戦!】』
- 『Craft Warriors(クラフト・ウォリアーズ)』
- 『Ninja Flicker』
- 『ねぇAI、本当の事が知りたい』
- 『怪異掲示板と7つのウワサ - 完全無料のチャットノベルゲーム』
- 『BQM ブロッククエストメーカー』
- 『ねこかわいいぼくゆうれい』
- 『PARADE!』
- 『ネコの絵描きさん』
それぞれ5分間でゲームの魅力を伝えるプレゼンは、普段開発に従事している人とは思えないほど本当に充実した内容でした。
どのプレゼンも印象深かったのですが、ひとつだけ挙げるなら、『ねぇAI、本当の事がしりたい』でノミネートされたコトリヤマさん。
このゲームは、「しり」がつく言葉を忘れてしまう登場キャラに対して、プレイヤーが穴埋め形式で正解を答えていくことで物語が進むゲームです。
開発の背景にあったのは、ご夫婦で1年半かけて開発していたAI対戦ゲームの失敗。
この挫折で落ち込んでしまった夫に、妻が笑顔を取り戻させようと「ものしりなAI」というダジャレの絵を書いたことにより、久しぶりにご夫婦で笑ったとのこと。
それ以降、夫が落ち込むたびに「しくじり」や「じりひん」など、「しり」がつくダジャレを考えていった結果、山ほど蓄積され、この体験をゲーム化しようということに至ったそうです。
物知りなAIが悲しい記憶を抱えた人たちの手助けをするというストーリーのもと、「やさしさのデザイン」を追及した結果、目に優しい水彩表現やイージーなシステム、遅い回線でもダウンロードできるよう100MB以下の容量に制限するなど、現在の形になったといいます。
この話を聞いて心動かされた人も多かったと思います。
ユニークな審査員
また、プレゼン後の質疑応答では審査員から鋭い質問も出る中で、一際ユニークだったのがバーチャルYouTuberのキズナアイとカイロソフトのカイロくん。
キズナアイは、自由にキャラクターを作成できる『Craft Warriors』に対して、
「頭だけ醤油のボトルのキャラは作れますか?」
や、猫がたくさん登場する『ねこかわいい ぼくゆうれい』に対しては、
「マンチカンがかわいいと思うんですけどゲームに出てきますか?」
と独特な質問で会場を和ませる一面もありました。
また、カイロくんは通訳?を通じて、
「僕もAIだから気持ちはよく分かるよ」
と『ねぇAI、本当の事がしりたい』に対して共感を示していました。
引用:https://www.famitsu.com/news/201804/29156626.html
このように厳正な審査を行いつつも、エンターテインメント性を意識しているところに運営の工夫がみられました。
最終結果
来場者と審査員の採点により、トップ3には『Craft Warriors』、『PARADE!』、『ネコの絵描きさん』が選ばれました。
さらに、先日お知らせした通り、少年ジャンプ+ 賞にも『ネコの絵描きさん』が選ばれ、W受賞という結果になりました。
【Indie Games Festival 2018】『ネコの絵描きさん』が少年ジャンプ+賞とトップ3をW受賞!
http://blog.item-store.net/entry/2018/05/01/120000
審査員の感想
授賞式の後、数名の審査員にインタビューを行うことができました。
株式会社シシララ代表の安藤氏は審査について、どのゲームも面白くて選ぶのがつらかったこと、そして自戒を込めながら大手ゲームメーカーがビジネス重視とガチャの呪縛に縛られ、ゲームが進化しにくいと前置きし、インディーゲームには遊んでびっくりするようなゲームを求めたいと話していました。
またNiantic Incの川島氏は、トップ20に猫のゲームが3つ入ったことに対して、「猫が10%以上、This is 日本!」と驚きを示した一方で、「会場と審査員の評価の違いは?」という質問に対しては、その差がほとんどなく、トップ3については完全に一致していたことを明らかにし、「審査員いらないんじゃない?」と冗談めかしていました。
さらに、トップ3受賞作品『PARADE!』やご自身の息子さんがGoogle Homeに自然に話すことを引き合いに出し、音や会話、耳の感覚を重視する時代の到来と『耳による拡張現実』の可能性について語ってくださり、ポケモンGOに続く新しいARゲームの開発を予感させました。
イベントを終えて
2月1日から作品募集を開始した『Indie Games Festival 2018』もこれで終了です。
日本では初めてとなった今回のイベントは、いかがだったでしょうか?
数あるゲームイベントの中でも、開発者によるプレゼンをじっくり聞く機会はあまり多くありません。開発の背景や過程、裏話を聞くことでより一層そのゲームを楽しむことができるだけでなく、自分でゲームを作る際の参考にもなることでしょう。
また、プラットフォームを運営するGoogleが自らコンテストを主催することで、ますますインディーゲームが盛り上がっていくことを期待させられます。
来年も日本での開催予定があるとのことですので、今回応募された方も、応募されなかった方も、次回のトップ3を目指して、Android向けのゲーム制作に取り組まれてみてはいかがでしょうか。
文:インディーズゲーム放送局
インディーズゲームの紹介やイベント、インディーゲームクリエイターの支援を行っています。プレイヤーにとってはメディアとして、ゲームクリエイターにとっては困ったときの巻物(風来のシレンに登場するアイテム)という位置づけで活動しています。
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