こんにちは。
インディーゲームの紹介などを行っているインディーズゲーム放送局です。
前編に引き続き、インディーゲームイベント「TOKYO SANDBOX 2018」の様子をお伝えいたします。
Webサイト: https://tokyosandbox.com/
今回は各ブースで展示されたゲームのご紹介です。
100タイトル以上のゲームが出展されていましたので、個人的に気になった作品をピックアップしてみました。
なお、ご紹介するゲームの中には現在開発中のものもあるため、リリース時には変更されている可能性があることを予めご了承ください。
monkey wall
京都のゲームチーム・Game Attackの手がけるパズルアクション。
代表のシミョン・レイモンド氏が「子供から大人まで、みんなが遊べるゲームを作りたかった」と言う通り、遊び方は3x3に分かれたマスのうち、正解のマス(壁がない通り抜けられるマス)をタッチするだけ。するとおサルさんが柔軟に、そしてコミカルに体を変え、壁の穴を通り抜けていきます。
壁がどんどん迫ってきますので、ぶつからないよう通り抜けられるマスをいかに見つけるかに、このゲームの面白さがあります。
また、壁があるマスをタッチしてしまうとゲームオーバーですが、その際自分のタッチしたマスと正解のマスが表示され、それが復習につながるほか、リプレイもすぐにできるようになっています。
面白さだけでなく細かいところにも配慮の届いたゲームです。
▼製品サイト
http://gameattack.simia-mimus.com/post/166597826209/monkey-wall-ios-android
吾妻邸くわいだん
田口氏が代表を務める求道庵の1作目となる本作は本格“辛口”アクションADVと銘を打つほど難易度が高く設定されています。
「くわいだん」と書かれていますが読み方は「かいだん」。これは旧仮名遣いを用いることで、タイトルから受けるインパクトの強さを狙ったものです。
ゲーム内容は、現代から80年ほど前の古い屋敷を舞台とした妖怪を倒していくアクションと、ポイント&クリック式のアドベンチャーが組み合わさった作品になっています。
プレイヤーは恐怖体験、謎解きの快感、さらにはプレイヤーを甘やかさないという
開発コンセプトに基づいた高い難易度設定により、クリアしたときの達成感も味わえるでしょう。
私も妖怪やら仕掛けやらで、何度もやられました・・・。
当初開発に使用されていたAdobe Directorが、開発途中でサポート終了となったため、最新のWindows環境で動作しなくなるという苦労話も。その後、開発環境をUnityへ移行することで、ようやくPC版を完成させるに至りました。
しかし、Unityに移行したことにより、PS4への展開が可能になるなどの副産物を得ることもできたので、その苦労は報われたと思います。
▼製品サイト
http://gudouan.com/kwaidan.html
海のカケラ Fragment of Marine
Sea氏が代表を務める潮騒セイレーンが出展したゲームは独自ジャンル「サークルアクション」。
ジャンルが示す通り、キャラクターは反時計回りにのみ移動できる円形(サークル)の足場を乗り継いで移っていき、ゴールを目指していきます。
サークル上の敵に当たったり、自分と異なる色のサークルに乗ってしまうと失敗となり、直前からリスタートします。
Sea氏が「テンポよく進んでいくことを意識した」と言うように、スピード感があるゲームで、プレイが上達するとサクサク進める気持ちよさを感じます。
さらに、海を感じさせるグラフィック、エフェクト、効果音がその気持ちよさを後押ししています。
個人的に、このゲームは古くから知っており、まだ名称やゲームの目的も曖昧だったころ、彼は私に1枚の写真を見せてくれました。
これはSea氏がこのゲームの構想を思いついたとき、走り書きしたメモを写真にしたものです。
これが、作者以外の目にする『Fragment of Marine』の最初の形だとして、それが実際にプレイすることのできるゲームとして世に出るに至ったのだと思うと、とても感慨深いものがありました。
▼製品サイト
https://marin228.wixsite.com/mysite/games-3
VR RHYTHM ACTION SEIYA
VRとサウンド制作を得意とするワンドブイはVRの音楽ゲームを出展。
自分がライブ会場に立ち、前方から飛んでくる歌詞のついた星をパンチすることでメロディを奏で、スコアが上がっていきます。
見た目もきれいで、体感・没入感も十分あり、かわいらしい見た目からは想像がつかないほどアクティブに体も動かし、とても楽しめました。
そして私がすごいと感じた部分は、星をパンチしたとき、コントローラーが振動するのですが、その当たったタイミングがばっちりあっていたことです。
VR事業責任者の近藤氏に話を伺ったところ、その部分は苦労したとのこと。
当たった時のタイミングや手触りを調整し、プレイヤーが聴いたことのない曲を選んだとしても演奏できるようこれまでアップデートを重ねていった結果、現在の形になったそうです。
歌詞が飛んでくるというゲームシステムも、継続的なアップデートの結果であり、開発当初は単純に星が飛んでくるだけだったとのこと。
さらに、VRを作るうえで注意を払ったのが酔い対策。
画面を動かす要素をあえて排除するなどの工夫により、過去数千人のプレイヤーのうち、気分を悪くした人は皆無だというから驚きです。
▼製品サイト
RPG GolfとRPG Golf ISLANDS
大阪に拠点を置くArticNetはユニークなゴルフゲームを出展。
販売中の『RPG Golf』の方はショットを打った後、玉のところまで移動する際に敵が出てくるので、ゴルフクラブでその敵を倒しながら進んでいくアクションRPG。
開発中の『RPG Golf ISLANDS』の方は敵が出現しない代わりに、今度は素材集めの機能を付け、ゴルフクラブを生成できるクラフトゲームと化しました。
代表を務めるリッカルド氏に、「どうしてこんなにゴルフにこだわるのですか?」と伺ったところ、とにかくゴルフゲームが大好きだからとの答えが返ってきました。
ところが、マリオゴルフやゲームボーイのゴルフゲームをプレイしていくうちに、ショットしてからでないと先に移動できない、コース全体を見ることができないなど、不自由さに不満を感じるようになったそうです。それらを解消したくて、自由に動き回れる『RPG golf』を作ったとのこと。
この他にも色々なお話を伺いましたが、とにかくゴルフ、ゴルフという姿勢がなんとも印象的でした。
▼製品サイト
http://chorusworldwide.com/rpgolf-jp/
TOKYO SANDBOX を訪れてみて
いかがだったでしょうか。
ここでご紹介できたゲームはごく一部であり、会場には100タイトル以上のゲームが出展されていました。
中には大手ゲームメーカー顔負けの高いグラフィック力を感じさせるゲームもあり、本当に様々なゲームがありました。
盛りだくさんのインディーゲームに触れることができ、ステージパフォーマンスも見られるTOKYO SANDBOXは、ゲーム好きにとって大変刺激的で満足できるイベントだと感じました。
今後も気になるイベントがあれば、レポートしていきたいと思いますので、お楽しみに!
文:インディーズゲーム放送局
インディーズゲームの紹介やイベント、インディーゲームクリエイターの支援を行っています。プレイヤーにとってはメディアとして、ゲームクリエイターにとっては困ったときの巻物(風来のシレンに登場するアイテム)という位置づけで活動しています。
Webサイト:http://igb.sakura.tv/